そう言えば、
ふと思い出した。
彼のお家で起こったある事情から、
他にも重なって大変だったときに
わたしは彼に言ったのだった。
「大変でしたね。 でも、ご家族の絆が強くなったのでは? 」
と。
本気でそう思ったし、
反面、わたしなんかが立ち入れないそこを嫉妬する気持ちにもなった。
でも、
彼は
素直に そうだね とは言わなかった。
「絆というのは、何事もなく普通の生活になってから、嬉しく思うもの…」
というニュアンスの返事だったと思う。
確かに、
大変なことがあったから
絆が強くなったのでは?
と言われても嬉しくないのは
わたしもそうだったけど、
彼ももっとそう思ったに違いない。
知人に、
「絆が強まったのでは?」などと言われても、
絆って何?
と思ったし、
何も考えずに調子に乗っていた、あの頃が
楽しくキラキラしていたと懐かしくさえ思ってしまうこともある。
まだまだ罪深いわたし。
そもそも、手放さなきゃいけなかったものを
手放せずにいるわたしは、
絆など、手に入れても良いのだろうかとさえ、思う。
本当は欲しくてたまらないのに。
Source: 女坂
