そのお寿司屋さんは、
都会の雑踏とは全く異次元な感じの
静かな地下にあった。
知る人ぞ知る、というような、
大切な人と、大切な時間を過ごすための
そんな雰囲気のお店だった。
半個室のようなカウンターで
眼の前で握っていただくお寿司…
丁寧な仕事、丁寧な手さばきで
優しく握られたお寿司は
笹の葉の上に一貫ずつ置かれた。
こんな高級店、
確か子供の頃、
父に連れて行ってもらった以来だと思う。
そこは、メニューのないお寿司屋だった。
ここは、メニューはあったが、
彼はメニューをひらいたが、
わたしには見せてくれなかったw
わたしの希望はもちろん聞いてはくれるが、
それを聞いて板さんと相談して、
いいように頼んでくれるから。
彼に任せておけば大丈夫。
それに、
メニュー見たら、値段を見て
わたしが、びっくりしたり、遠慮したりするから
隠したのかなぁと思ったり。
まあ、とにかく、
そんなこと何も考えずに
わたしは彼に甘えて、
次々と、
ややゆっくりと提供される美味しいお寿司に舌鼓を打った。
それよりも、
カウンターに並んで彼とお食事をいただくのも久々だった。
彼の優しい横顔と
話すときに目の表情がチャーミングに変わるのを
近くで見れたのが嬉しかった。
困ったことがあった、という話
わたしとの想い出を話すとき、
わたしをからかったりするとき、
その度ごとに、
彼の目の表情は変わり
まつ毛も二重のまぶたも
素敵だった。
こんなことで感動するわたしw
彼との語らいは、
困ったことでも楽しい話でも
全ては貴重、
話が弾む。
お互いの歴史を共有しているのもあるけど、
話のテンポがとても合う。
だから、楽しいんだよね。
Source: 女坂
