カフェでお茶を飲みながら、
彼は少しだけ照れくさそうに、
「今日は○○○(わたしの名前)に案内してもらって楽しかったから、
今度は俺が案内してどこか連れて行ってあげないとな。
どこ行きたい?」と言った。
かつては、
たくさんいろんなとこに連れて行ってくれたのに、
改めてそんなふうに言ってくれるなんて
彼の気持ちの変化というか、
彼のわたしへの思いに
戸惑いを感じるくらいだった。
もちろん、嬉しいに決まっている。
一時は、
もう会うことすらできないと、
ましてや、あちこち一緒に出掛けることなんて、もうできないと思っていたから。
嫌われたわけじゃないのはわかってたけど、
彼の「事情」で、仕方ないと思っていた。
わたしの存在なんて
彼にとったら軽いものだったのかとすら思っていた。
なのに、
きっとそうじゃなかったのだ。
彼は、一度きりしかない人生の、
その中に、
わたしとの時間を取り戻そうとしてくれたのだと思う。
そう考えるに至るまでには、
色んな葛藤があっただろう。
彼は、一年半前に、わたしと箱根に行こうと話していたことも覚えていた。
「どこ行きたい? 箱根?」と。
もう、箱根なんて、鎌倉なんて、
草津なんて、どこでもいいよ。
あなたとなら、
ただ、あなたと時間を過ごせるなら、
わたしは幸せなの。
Source: 女坂
