誰かの犠牲の上に、
幸せになってはいけない。
確かにそうだ。
だから、絶対に秘密にしなければいけない。
この日、彼は、
自分は逝かなかった。
わたしを逝かせることが一番で、
いたれりつくせりだった。
もちろん、たのしいデートを考えてくれたことも。
きっと前回、わたしが別れたいとおもったことを知っているので、
俺は、自分が満足したいだけで、
おまえと逢ってるわけじゃないよ、
ってことを、
表したのかなって思った。
抱き合ったあとは、
ずっと、腕枕してくれて、
寝ているときもわたしを離さなかった。
わたしが寝返りをうっても、また抱き締め直す。
夢を見ていた彼は、
身体を痙攣したように震わせ、
恐怖を感じているように息も荒くなっていた。
どうしたの?大丈夫?
わたしは心配になり、
彼を起こした。
目覚めた彼は、
おまえと寝ているときに、
怖い夢を見るんだ…
と言った。
わたしがどこかに行くと思うのか、
だから、寝ていても腕が痛くなっても、
わたしを離さないのか、
たまたま、かもしれないけど、
そんな風に感じるほど、
彼はわたしを大事にしてくれている。
彼と出逢ってから、
ずっと、
夢じゃないのかな、と思うほど、
幸せにしてもらっている。
かと言って、上辺だけの綺麗事ではなく、
だめなところは注意もされるし、
お互いに言いたいことも言う。
年々、自然に振る舞えるから楽になっている。
それでも、思いやったり、
傷つけるようなことは言わない。
こんな相性の良い人と、
出逢えただけで、わたしは生きできてよかったと思うのだ。
幸せ過ぎて、泣きたくなるほどに。
Source: 女坂
