『ごめんなさい。本当にごめんなさい。別れて下さい。』
『は?』
西条さんの意味がわからないといった声。
なおも私は床に頭を擦り付けたまま、小さい声で続けました。
『本当にごめんなさい。私であれば、どんな条件でものみます。』
『なんだよそれ。。』
西条さんの今までとは違った、震える声が聞こえてきました。
『ごめんなさい。ごめんなさい。』
私はひたすら謝り続けました。
卑怯なことですが、謝る以外できることが見つかりませんでした。
『俺は別れないよ。』
震える声でしたが、はっきりと言いました。
『すみれ、顔をあげて。』
私は恐ろしくて顔を上げることができません。
『顔をあげろ!』
再び声を荒げる西条さん。
恐る恐る顔を上げると、西条さんの顔が目に飛び込みました。
真っ青な顔に真っ赤な目がやけに浮いていていて、この世の全ての絶望を凝縮したかのような顔、、。
私が知っている西条さんの顔とはまるっきり違う顔がそこにはありました。
この時私は、自分が犯した罪をはっきりと自覚しました。
私は人ひとりを殺したのだと。
一人の女を愛した男の心を、これ以上ないというほど残酷な方法で捻り潰したのだと。
Source: アラサー女医の不倫ブログ
