1: 名無し 2022/02/06(日) 07:21:30.86 ID:e/R6NbkK0
(打てる、きっと打てるぞ!)
星野君は、強くバットをにぎり直した。
(かんとくの指示は、バントだけれど、今は打てそうな気がするんだ。どうしよう……。)
ピッチャーが第一球を投げ込んできた。星野君は反射的に、思いきりバットをふった。
バットの真ん中に当たったボールは、ぐうんとのびて、セカンドとショートの間をあざやかにぬいた
。ヒット! ヒット! 二塁打だ。ヒットを打った星野君は、二塁の上に直立して、
思わずガッツポーズをとった。この一打が星野君の所属するチームを勝利に導き、市内野球選手権大会出場を
決めたのだ。
その翌日も、チームのメンバーは、練習を休まなかった。決められた午後一時に、町のグラウンドに集まって、
焼けつくような太陽の下で、かた慣らしのキャッチボールを始めた。
そこへ、かんとくの別府さんが姿を現した、そして、
「みんな、今日は少し話があるんだ。こっちへ来てくれないか。」
と言って、大きなかしの木かげであぐらをかいた。
選手たちは、別府さんの周りに集まり、半円をえがいてすわった。
「みんな、昨日はよくやってくれたね。おかげで、ぼくらのチームは待望の選手権大会に出場できることになった。
本当なら心から、『おめでとう。』と言いたいところだが、ぼくにはどうも、それができないんだ。」
別府さんの重々しい口調に、選手たちは、ただごとではなさそうなふんいきを感じた。
別府さんは、ひざの上に横たえたバットを両手でゆっくり回していたが、それを止めて、静かに言葉を続けた。
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Source: なんJ 高校野球まとめ速報
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