ヤクルトは看板選手の山田と早い段階から、何度も残留交渉を重ねてきた。球団フロント関係者は
「『チームには何の不満もないけど、他球団の評価は聞いてみたい』と言っていた。要はカネ」と進捗状況を明かす。今季は故障で欠場を繰り返し、スタメンは87試合止まり。94試合で打率・254、12本塁打、8盗塁と不本意なシーズンになったが、球団はFA権行使を見送る理由にはならないとの見立てだ。「それとこれは別。相当状態は悪いようだし、もし今年FAじゃなかったら、ここまで無理をして1軍にいなかったと思う」と受け止めている。
「評価」に直結するのはズバリ条件面だ。球団は慰留のためヤクルト本社の全面バックアップを取り付け、上積みする構えだが、大きなネックとなるのが交渉のベースとなる値段の割高感だ。
山田はレギュラーになって7年でMVP1度、本塁打王1度。チーム成績は優勝1度で、Bクラス5度、最下位が4度。昨年オフの交渉では単年契約を選び、今季年俸は7000万円増の5億円でサインした。優勝しないと昇給は青天井とはいかないという球界の不文律に照らせば、破格の査定となっている。
別の球団関係者は
「普通はチームの成績も関わってくるけど、山田だけは例外だった。あのトリプルスリー(3回)が厄介。打撃部門トップが3つの三冠王とは違うが、『じゃあ、これまでトリプルスリーが何人いるんですか?』と言われて、上げすぎてしまった」と振り返る。相場以上に大盤振る舞いしてしまった感は否めない。引き合いに出された坂本はレギュラー12年でMVP1度、首位打者1度ながら、チーム成績は優勝6回、Bクラスは4位が1度と段違いだ。2018年オフに年俸5億円の複数年契約を結んでおり、21年までは固定。すでに同等の評価を得ている山田がFAになれば、契約には坂本以上の年俸を用意する必要がある。
争奪戦に金持ち球団の巨人やソフトバンクが参戦してきても、ヤクルトは対抗できるのか。前出フロント関係者は「今のFAは早いもの勝ちみたいなところがある。中には年俸9億円を用意している球団もあるようだ。それでは太刀打ちできないし、『他球団の話を聞きたい』と言って、そんな話を聞いたら、うちに戻ってくるわけがない」と早くも白旗を揚げる。
パ・リーグ王者のソフトバンクは今季も二塁手の固定に至らず。最多53試合に先発した24歳の周東がリーグトップ50盗塁でブレークしたが、ソフトバンク関係者は「山田が来たら周東は外野に回せばいい。獲れるなら当然動く」と明言する。
セ・リーグ2連覇の巨人は今季、二塁レギュラーの吉川尚が4年目で初の規定打席に到達。ただ近い将来、コンバート構想もある31歳の坂本に代わって遊撃に回る可能性もある。山田が加入すれば大きな穴が埋まるが、百も承知のヤクルトはあの手この手で残留工作を図る。「巨人に移籍したら、山田が嫌がっている人がコーチでやってくるかもしれない」「うちにいるから『今年は調子悪い』でファンは温かい目で見るけど、巨人だったらボロクソに叩かれる」などと、マイナス情報を吹き込む作戦だ。
そんなヤクルトに、他球団からも“エール”が送られている。パ・リーグ球団の編成担当は「ヤクルトは今までいろんな選手が出て行っているけど、山田は他の選手とは違う。山田に出て行かれたら、さすがにイメージが悪くなる」と心配。「山田がFAをチラつかせているのは、好条件を引き出すためという感じもする。今回はヤクルトに頑張ってもらいたい」。球界全体の戦力バランスを考えても、残留が望ましいという考えだ。
一方でOBからは「来年以降も今年のような成績になって、ますます給料と見合わなくなる可能性がある。チームを引っ張っていくタイプではないし、無理に引き留める必要はない」とシビアな声もある。前出フロント関係者は「村上みたいな選手があと3人ぐらい出てくれば、何も問題はないんだけど…」とため息。山田はノビノビできて大事にされる環境にとどまるか。それとも、カネを取って新天地を選ぶのか。
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Source: なんJ PRIDE
ヤクルト、山田に「じゃあ、これまでトリプルスリーが何人いるんですか?」と言われ年棒を上げ過ぎてしまう