ヤクルト奥川くん、学校では静かで休み時間もずっとグラブを触ってる陰キャだった

奥川恭伸

　ヤスは野球だけじゃなく、スポーツは何をやらせてもすごい。バドミントンでは、球技大会でバドミントン部の選手に勝っていた。
バレーボールのスパイクも、強烈な威力だった。やっぱり、腕の使い方が常人とは違う。

　学校では静かで、ワイワイするタイプではない。休み時間はずっと、自分や他の選手のグラブを触っている。
１年の時、ヤスと山瀬が授業中にグラブを触っていて、一度だけ怒られたことがあった。それ以来、授業中は真面目だった。

　手先が本当に器用なので、変化球も覚えたらすぐに投げられる。僕が学校に出す書類のハンコを忘れた時は、
針金みたいなもので消しゴムを削り「山本」と彫ってくれた。インクをつけて押したら本当にハンコみたいで、
そのまま提出してしまったことがある。ひもが固結びになったり、チャックが動かなくなった時など、何度も助けてもらった。

　一番すごいのは、日に日に進化し続けていることだ。向上心や探究心が、人一倍強い。２年の秋、学習室での勉強に疲れた時に、
ピッチングの話を聞かせてもらったことがある。「このボールは何キロでこう使って、ボールの軌道はこうで、球速差をどれくらいにして…」。
投球の組み立て方を聞いて、「そんなことまで考えているんだ」と驚いた。
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