引用元: http://tomcat.2ch.sc/test/read.cgi/livejupiter/1543031831/
沙知代が亡くなる日、昼頃に私が目を覚ますと、彼女が言った。
「左手を出して。手を握って」
今までの人生、彼女からそんなふうに言われたことは一度もなかった。私は黙って、そっと手首を握ってやった。
あのとき、沙知代は何を思っていたのか。いまとなってはもうわからない。
私たちは性格も、考え方も正反対だった。けれども、長く一緒に生きるうちに、すべてが溶け合っていた。私たちは二人で一人だった。
そんな「身体の半分」を失ってもうすぐ1年になる。私はこれから、いったい何を楽しみに生きていけばいいのか。
「これからも元気で、球界のためにボヤき続けてください」
仕事で会う人は、そんなことを言ってくれる。ありがたいことだが、私にできることは、もうやり尽くした。いつお迎えが来ても悔いはない。
いま残されている楽しみといえば、食べることぐらい。83歳、これ以上長生きするために健康に気を遣う必要なんてないだろう。好きなときに、好きなものを食べている。
そして夜、独りの家に帰ってきて、妻の位牌に語りかける。
「サッチー、君がいない毎日は、本当につまらないよ」
こんなボヤきを聞いて、彼女はどう応えるか。それは、なんとなくわかる気がする。
「大丈夫。なんとかなるわよ」
そうだよな、あとちょっと、生きてみようか。
「週刊現代」2018年11月10日号より
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Source: なんJ PRIDE
【悲報】ノムさん(83)「私にできることはもうやり尽くした。いつお迎えが来ても悔いはない」