【香川真司】「日本に帰るのは、負けたということなのか――」
2023年4月27日◆◆◆
日本に帰ってきてもうすぐ3カ月になろうとしている。正直なところ、帰国する前は色んな感情があった。寂しさや葛藤。本当にお前はこれでいいのかと問いかける自分もいた。
欧州での最後の日、ベルギーの自宅から車でフランクフルト空港へと向かった。車窓から、かつて過ごしたドイツの景色を眺めていると色んな思いが湧き起こってきた。
12年前、ドイツに来たばかりのときのこと。ドルトムントで駆け抜けた日々と手にしたタイトル。マンチェスターでの日々に、スペインでの奮闘。欧州で手にした大切な思い出の数々を乗せ、車は空港へと近づいていった。その時も、まだ本当の意味で覚悟は決まっていなかったように思う。日本に帰るというのは負けたということなのか。そう疑う自分もいた。
以前は35歳までは欧州でやれたらいいなという気持ちがあった。どんな形であれ、カタールW杯までは欧州でやると決めていた。欧州で長くやることは選手みんなの目標で、長谷部(誠)さんや岡ちゃん(岡崎慎司)、(吉田)麻也のように同年代でまだ頑張っている選手もいるし、彼らの存在は刺激にもなっていた。
それでも、これが自分の人生だし、自分のタイミングだった。欧州に12年半いたし、複雑な気持ちになるのは仕方がない。サウジアラビアに行ったクリスティアーノ・ロナウドも似たような気持ちだったのかな。欧州というのは僕にとってそれほど思いの詰まった場所だった。日本に戻り、セレッソのユニフォームを着てプレーしている今はもう気持ちはすっきりしているけれど。
岡ちゃんはこの4年間、一番話をした人
日本帰国が決まり、岡ちゃんと話をした。事前に相談することはなかった。岡ちゃんの答えは分かっていたから。彼自身は絶対欧州に残るだろうし、最終的には自分の答えが大事だったから、決断した後に伝えたら、「そうか」と。
岡ちゃんはこの4年間、一番話をした人だった。サラゴサ時代は、ウエスカにいた彼とは家も10分の距離で、コロナのロックダウンも一緒に経験した。トレッドミルがある彼の家でトレーニングをした。キャリアも考え方も似ていて、共にプレミアリーグを経験してその後スペイン2部で奮闘した流れも同じだった。
ふたりともカタールW杯を目指していた。代表に呼ばれない時も、よく代表について語り合った。希望は持っていたけれど、自分はどこかで無理だろうなと思っていた。現実を受け入れていたし、足の痛みもあった。今の状況では代表は難しい。どこか惰性で頑張っていた所もあったように思う。
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Source: SAMURAI Footballers
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