大学サッカーが真摯に向き合うべき課題
2021年4月10日「大学サッカーの課題はなんですか?」
と聞かれたら、あなたはどのように答えますか?注目度の低さでしょうか。集客でしょうか。はたまた、環境面や資金面の問題でしょうか。実際、そのような課題は確実にあります。しかし、それよりもっと大きな、核心をつくような課題があると僕は思います。
僕だったら、冒頭の質問にはこのように答えます。それは、「頑張る学生・チームへのリターンのなさ」です。「リスクテイクに対するリターンのなさ」とも言えると思います。
これは大きな問題です。これこそが、注目度の低さや集客での苦労の根源にあると思っています。さらに言えば、これはサッカーにとどまらず、大学スポーツにもとどまらず、日本の学生スポーツが抱える大きな課題だと言えるかもしれません。
Jリーグの場合、ホーム開催のチケット収入は基本的にホームチームに入ります。しかし、大学サッカーの場合はチームにチケット収入が入ることはありません。当日の試合運営を行う組織である学連が一括でチケット収入を管理しています。そのため、各大学がいくら頑張って集客活動をしても、その頑張りに対するリターンはありません。つまり、各大学には集客活動に対するインセンティブがないというのが実情です。そんな状況の中で関東学連が用意しているのが、前期リーグ後期リーグそれぞれ1回の「集中応援日」というものです。(※コロナの影響で今は実施していません)「この日くらいは集客活動を頑張ってよ」といった感じで各大学にお願いをしていますが、チームによって熱量はバラバラです。
直接的なインセンティブがないにも関わらず、早稲田大学や筑波大学などの一部の大学は集客活動に精力的に励んでいるわけです。(※今はコロナの影響で難しい部分は間違いなくあります)ここで名前が挙がってくるのが、「大学サッカー界をリードする」といったビジョンを掲げていたり、大学サッカーの注目度向上に対するモチベーションを持っている大学になります。
これは一種のボランティア活動です。有形のリターンがチームにないにも関わらず、「大学サッカーの注目度や価値の向上」といった無形のリターンを目指して身を削っています。悪く言えば、せっせと学連の収益UPに貢献している状況なのです(笑)。
僕は学連の内部の人間なので、学連が儲かるのは万々歳です(笑)(ただし、実務を頑張る我々学生幹事に対してお金が入ってくることはありませんよ)。ただし、学生幹事とはいえチームから派遣されている身でもあるので、この状況をいつも苦々しく思っています(これは僕だけではないはずです)。
「日本再興戦略2016」における数値目標として、「2025年までに国内のスポーツ市場規模を15兆円にまで拡大させる」ことが掲げられています。(2015年は5.5兆円)その具体的な施策の1つとして、「アマチュアスポーツの産業化」「大学スポーツの振興」も明記されています。現状は先程述べた通りの大学サッカーですが、その先に僕が見ているものは「大学サッカー商業化プロジェクト」たるものです。はい、ここでこんな疑問を抱いた方もいるのではないのでしょうか?
「学生スポーツで金稼ぎをするとは何事か!」「学生スポーツはクリーンであるべき!」
なんとなく言っている意味も分からなくはないですが、古いと思います。ここでは、とある企業や組織が学生スポーツを使ってボロ儲けすることを意図しているわけではありません。学生やチームの頑張りによって生み出すことができたお金を、頑張る学生・チームにきちんとキックバックする。キックバックされたお金を選手やチームの投資に充てることで、競技面や環境面の更なる充実を図る。その環境で育った(優秀な)学生が成果を残し、様々なフィールドで活躍することで、社会に貢献できる人材を輩出し続ける。そして、このサイクルを回し続ける。これが、僕が描く「大学サッカー商業化プロジェクト」の真意です。このようなことを言うのは、上記のことが当たり前のように行われていると見せかけて、全く行われていないからです。プロのアスリートは頑張った報酬として給与を得ていますが、日本の学生スポーツでは選手に給料が支払われることはありません。むしろ、学生とその家族が背負っているのは大きな負担ばかりです。高い部費を払い、遠征費も負担し、用具も各自で用意しています。
また、チームが頑張って集客をしても、学生の頑張りによって生まれた価値に惹かれてスポンサーが大会についても、そのチケット収入やスポンサー料がチームに対して分配される仕組みもほとんどありません。
(以下リンク先で)
note 7th 4/9
https://note.com/ryucalcio/n/ndbddabdb4896
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Source: samuraigoal
大学サッカーが真摯に向き合うべき課題