<年俸120円Jリーガー安彦考真>誤解を恐れず伝える 日本サッカー界は衰退していく
2020年12月25日18歳のオニエ・オゴチョクウとの交代も感慨深いものがあった。24歳年下の彼は僕にとっては息子みたいな存在。18歳という年齢で母国ナイジェリアを離れて戦っている彼は、どこか僕がブラジルで戦っていた姿と重なるものがある。オニエ、世界は広い。広い視野で世界を駆け抜ける選手になってほしい。
メンバー交代をした後、監督や選手と抱き合い、僕の目は涙であふれていた。最後にパーソナルトレーナーの奥村が僕を迎えてくれた。2年間共に戦ってきた彼との抱擁のあと、僕はロッカールームへと入った。そこで号泣した。1人で涙のロッカールームとなった。
僕はこの3年間で多くの経験を手に入れた。そこには日本サッカー界の未来があった。僕の率直な感想を誤解を恐れず伝えておこうと思う。これからの日本サッカー界は衰退していく。それは今まであぐらをかいてきた協会関係者やクラブ関係者、そしてサッカーさえできていればいいと考える選手とテクニカルスタッフ。コロナで見て見ぬふりをしてきた現実が360度どこを見ても見えるようになってしまった。クラブ経営は厳しくなり、お願い営業ばかりのスポンサー集めは限界を迎えた。そして、選手の意識はプロフェッショナルと思えないところまで沈んでいった。一連の不祥事は日本サッカー界そのものを表していると思う。
どうしてもスポンサーに頼らなければならないサッカー界だが、このコロナでスポンサーをつなぎ留める術がなくなった。苦しいのはサッカー界だけではない。そんな中で「お願い」では引き留めることはできない。しかし、今更スポンサーメリットなど見つけられない。その結果、見て見ぬふりをする。「費用対効果など出さない」。そう言っていたクラブスタッフの言葉を思い出す。それはやぶ蛇だからだ。
以前、研修で訪れたドルトムントでは、10歳で人生のABCプランを立てさせる。そのうちのひとつにサッカーではない仕事を想像させる。ドルトムントで下部組織からトップまで昇格できるのは一握りの選手だけ。その他の多くの選手は昇格できない。もちろん他のクラブへ行くことはできるが、多くの選手はそれを望まないという。それは、ドルトムントに関わり、育ててもらった恩をクラブへ返したいという想いが強いからだと言う。人生のABCプランを立てさせることで、サッカー選手ではない自分を想像し、その結果ドルトムントのスポンサーになるという流れができているようだ。
日本にもこんな育成方法があったらすてきだと思うが、それは無理な話だ。海外クラブは子どもたちに投資をしている。必要な設備なども含め、アカデミーへの投資額は大きなものだ。日本の場合はどうだろうか。投資というよりは、子どもたちからお金を集めて、クラブ経営やコーチの人件費に充てている。子どもたちの夢でクラブとスタッフが生き延びる流れは本当に健全なのだろうか。
12/25(金) 7:59 日刊スポーツ
https://news.yahoo.co.jp/articles/d01531295ae600a436bda97dcd544c9f540a6051
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Source: samuraigoal
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