<日韓W杯>トルシエがダバディに明かすトルコ戦の真実…「私の采配ミス」とは?
2020年9月10日三都主がスタメン起用され、3-4-2-1システムで臨んだトルコ戦。トルシエ監督率いる日本は宮城の地で涙をのんだ
「ところでフィリップ、あれ以来、トルコ戦は観ましたか」
「ノン」
およそ20年前の出来事について勇気を持って聞くと、フィリップ・トルシエは目を逸らし、顔を真っ赤にし、数秒間も黙ってしまいました。その古傷に触れると複雑な思いが蘇ったのでしょうか。
「私は初めてトルコ戦を観直しましたよ。日本代表はボールを支配しているし、終始トルコと五分五分でした。ナカタ(中田英寿)とオノ(小野伸二)はやはり上手で、本当に悔しいです」
私は言葉を続けましたが赤鬼は反応しない。むしろさらに黙りこみました。
ベトナムのU-19代表監督としてAFC U-19選手権2020に出発する前、ハノイの自宅からZoomで話してくれる約束でしたが、いきなり袋小路に入ってしまいました。
「試合を観る気持ちはないよ」
私の質問がいけなかったのでしょうか。2つ目のセリフも、社交辞令で言った訳ではありません。DVDであの日韓大会のベスト16での敗退をフルタイムで観ましたが、記憶していたほどひどい試合ではありませんでした。
失点は早すぎたけれど、アレックス(三都主アレサンドロ)のクロスバー直撃弾を含め、五分五分というより日本は押していました。西澤明訓だってシュートを枠に飛ばしているし、中田はいつも通り冷静に活躍していました。敗退の理由はスポーツ・ジャーナリストになって15年の私には未だに見えてこないのです。
フィリップ・トルシエはメガネを触ると、少しずつ喋り始めました。
「試合を観る気持ちはないよ。今でも悔しいから」
このテーマについて、およそ1時間は話を聞きたいと事前に知らせていましたが、それでも観られなかった様子です。しかし、彼の記憶は鮮やかでした。
失点のシーンは私を筆頭に……。
フィリップ・トルシエ(以下PT):「失点は前半15分?」
――12分です。ボールはペナルティ・スポットに飛びましたが、マークの受け渡しが一瞬曖昧になりました。ナラ(楢崎正剛)も一瞬飛び出しそうでしたが、結局は下がった。オノはニアポストから押し上げたけれど、ずっとポストにいた方が良かったかもしれませんね。
PT:「違うよ。このゾーンはデュエルが優先だから、ポストにいてもいなくても構わない。あのシーンは私を筆頭に、全員の集中力が足りなかったんだよ」
――集中力?
PT:「危機感が足りなかったと言ってもいい。試合の立ち上がりは私たちのボール回しで始まっただけに、落ち着いていたと言ったでしょう? 結局はトルコを恐れていなかったことが最大の間違いだったんだ」
――トルコは国外の欧州クラブでプレーする選手が私たちよりも多いチームでした。私たちは十分に警戒していたはずです。
PT:「いいえ、君はジャーナリストのような考えをするね、そうじゃない。試合に入ってから、私たちは相手のプレッシャーをそれほど感じなかった。雨が降って、スタンドのサポーターはいつも以上に静かで、白いレインコートを着ていたね。トルコも攻めてこない中、私たちはコンフォート・ゾーンに入ったのです。精神的な疲れもあったはずだし、体は動くけれど頭とシンクロしていなかった」
つづく
9/7(月) 11:31 ナンバー
https://news.yahoo.co.jp/articles/0c9e0f342a077323534c21da0541eac80b47667a
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Source: samuraigoal
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