「過剰な宣伝を凌駕」 重圧はねのけた久保に英記者も脱帽「正真正銘の最高傑作に…」
2019年6月28日日本代表は現地時間24日、コパ・アメリカ(南米選手権)のグループリーグ第3戦でエクアドルと対戦し、1-1で引き分けた。この結果、グループ3位同士の成績でペルーとパラグアイを上回れず決勝トーナメント進出を逃した。試合は前半15分にMF中島翔哉(アル・ドゥハイル)が先制点を奪うも、同35分に失点。後半も再三にわたって決定機を迎えるもゴールに結びつけることができず、2分1敗で大会を去ることになった。
かつてアジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ(W杯)を6大会連続で取材した英国人記者のマイケル・チャーチ氏は、全3試合中2試合で先発フル出場したMF久保建英(FC東京→レアル・マドリード)が計り知れない期待や重圧を背負いながらも、「過剰な誇大宣伝を凌駕する興奮を与えた」と称賛を送り、「この世代における日本最高の選手が誕生したことは明白だった」と将来の飛躍にも太鼓判を押している。
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この数年間、久保建英は日本の次なるスーパースターになるという責任を背負わなければならなかった。A代表に初選出されたばかりだが、すでに今後10年以上にわたって日本サッカーを牽引する希望の星としての運命が、義務付けられているように見えた。そのため大会前には期待という重圧により久保が押し潰され、メディアの刺すような視線によってメンタル的に弱体化してしまうことも容易に想像できた。
しかし、久保はそこで萎縮するような人間ではないことをコパ・アメリカで証明してみせた。彼は才能を開花させる資質も備えていた。初陣となったチリ戦の最初の1分で、彼は心地良くプレーし、試合でインパクトを与える決意を示し、それを強く望んでいるように見えた。今大会の初戦をがっかりする結果に終わった試合(0-4で敗戦)として振り返ることに疑いの余地はないが、個人のレベルに関しては、過剰な誇大宣伝を凌駕する興奮を観る者に与えたこと、そしてこの世代における日本最高の選手が誕生したことは明白だった。
もちろん、どんな選手にも巨大な重圧がかかるものだが、この18歳はまだA代表で2度スタメンを飾っただけに過ぎない。しかし、バルセロナのアカデミーで育ち、FC東京を経てレアル・マドリードへ移籍したという、駆け出しのキャリアとしては並外れた実績は、メディアやファンにヒステリーをもたらすことも正当だと言える。
そうした喧騒の中でも、彼は常に自分自身を穏やかに保ち、先発デビューした一戦でも、南米王者チリを相手に威厳を示してみせた。ウルグアイやエクアドル相手にもフィジカル面で遅れを取った印象はない。しかし、南米のラフプレーの標的になるも、久保は体の土を振り払う程度で、騒ぎにすることはなかった。
◆久保への適切なバックアップを提言 「大事なのは、過度な期待で久保に負荷をかけないこと」
そのようなことが起きるのは、このヤングスターの評価が先行してしまっているためだ。対戦相手の選手やコーチは、久保が相手を切り裂く武器を持っていることを事前に把握していた。試合を読む力、深い位置まで落ちてくる力、ドリブルで守備陣の間を駆け抜ける力、そして対戦相手が対処できないようなスルーパスを供給する力だ。
チリ戦ほど顔を出す頻度が少なかったエクアドル戦でさえ、自分自身と他の選手へのチャンスを切り開いていた。前半に自身の力で決定機を生み出したが、彼の個人技には守護神のアレクサンデル・ドミンゲスもボールをバーの上に逸らすのが精一杯だった。
若さを踏まえると、キャリアをスタートさせたばかりの彼にこれ以上のものを求めるのは酷だろう。18歳になったばかりで国を背負う希望が託され、2020年の東京五輪やその先の偉業への期待もかけられている。
大事なのは、過度な期待で久保に負荷をかけないことだ。ピッチ内外の両方で適切な道を歩ませなければならない。もし彼が自身のポテンシャルを認知しているならば、成長するためのチャンスを与え続けなければならない。彼の選手としてのピークは10年後にあり、来年の東京五輪や2022年のW杯ではない。
彼には疑う余地のない才能が宿っており、それを早いタイミングで証明した。期待に応えるだけの資質も備えている。成長と飛躍を繰り返し、経験を重ね、選手としての武器を増やしていくことができれば、久保は日本とアジアにおける正真正銘の“最高傑作”になることができるだろう。
マイケル・チャーチ/Michael Church
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Source: samuraigoal
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