<森保監督の“公平な”メンバー選考>外国人監督は圧倒的に日本人の情報が足りず視点も独断と偏見を帯びていた
2019年6月3日しかし、このメンバー選考はサプライズではない。久保はすでにクラブで中心選手となっていて、首位を走るチームを牽引。結果を残している。つまり、必然の招集と言えるだろう。
一方、欧州のクラブに所属し、定位置を掴むことができていないベテラン、岡崎慎司(レスター退団が決定)と川島永嗣(ストラスブール)の招集に関しては、疑問符を投げかける人もいるだろう。
しかし、この招集も驚きに値しない。世代交代を図る中で若手選手を招集する一方、実績、実力のあるベテランを呼び、代表選手の厚みを伝える。欧州で長く活躍し、ワールドカップ、アジアカップなど国際経験も豊富な二人の存在は貴重だ。コパ・アメリカを戦ううえでも重要になるだろう。
「世代間の融合」
森保一監督は、就任以来、そう言い続けているが、今回の選考も何ら矛盾はしていない。17才の久保と36才の川島が共存する。そこに伝承はあるだろう。キリンチャレンジカップの27人という多めの招集人数(通常は23人)も、その意図が透けて見える。
実に正当な代表メンバーと言える。ほとんどの選手が各チームで納得できる活躍をしているし、文句をつけられない。個人的に、「3、4人はこっちの選手の方がいいよ」というのはあっても、腑に落ちるメンバーだ。
その公平性は、すべての日本人選手たちにも伝わるだろう。
「活躍次第で自分も代表に手が届く!」
各選手、代表への競争心も沸くだろう。誰にでもチャンスがあって、平等に選ばれている。その空気が、健全さを生むのだ。
これは、森保監督が日本人であることのアドバンテージと言えるかも知れない。
過去、アルベルト・ザッケローニ、ハビエル・アギーレ、そしてヴァイッド・ハリルホジッチの代表選考は、かなり独特だった。「斬新な視点が刺激を与えた」のは紛れもない事実だろう。抜擢され、成長した選手も少なからずいる。
しかし、フィーリングで決める選考も多かった。J1での実績が乏しい選手を感覚で呼び、すぐに呼ばなくなったり、逆に活躍しているのに呼ばれない、あるいは海外での経験が面白い、というだけで呼んで勝手に失望する。そんな事例がしばしば起きた。
外国人監督たちは日本人指導者にはない経験を持っている一方、圧倒的に日本人の情報が足りず、視点も独断と偏見を帯びていた。それは彼らが悪いと言うわけではない。外国人のマイナスとプラスだった。
例えば日本人監督がベトナムを率いることになった場合、ほとんど情報がない。ほ
ぼゼロからスカウティングをスタートさせる。ベトナムという国の事情や民族性を知るには、膨大な時間がかかるだろう。代表はクラブチームと違い、選考に困難が伴うのだ。
その点、森保監督のマネジメントは無理がない。選手選考が円滑。おかげで監督就任後、速やかな戦術変更につながっている。アジアカップ決勝は敗れたものの、順調な1年目と言えるだろう。
6月のキリンチャレンジカップ、そしてコパ・アメリカで森保JAPANはさらなる変革を続ける。
文:小宮 良之
【小宮良之の日本サッカー兵法書】久保建英の招集はサプライズではない――森保監督の“公平な”メンバー選考
2019年6月1日 7時47分
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Source: samuraigoal
<森保監督の“公平な”メンバー選考>外国人監督は圧倒的に日本人の情報が足りず視点も独断と偏見を帯びていた